2010年 12月 12日
カメラを食べる |
文字通りカメラを食べてしまう夢を見た。モデルまではっきりと覚えている。オリンパスOM1という古い一眼レフのブラック仕様で、三角形にとんがったプリズム部分から齧りはじめて気がついたときにはレンズの上半分くらいまでが胃袋のなかに収まっていた。味はウエファスか乾いたカステラという感じで、それほど旨くはないもののなんとなく口に運んでしまうのであった。普段詩のことよりも家族のことよりもたぶん写真のことを考えていることの方が多いという自覚はあったが、まさか単なる道具であるカメラに対して「食べてしまいたい」ほどの欲望というか情愛を抱いているとは思わなかった。夢のなかで齧りかけのカメラを手に、「しまった。これでもうこのカメラは使えなくなってしまう」と思いながら、すでに代わりのカメラは何を買おうかなどと考えている。病膏肓に入るとはこのことか。
父親があほな夢を見ている間に、息子は立て続けにラジオに出演した。まずハンブルグ、そしてミュンヘンの音楽専門ラジオ局である。「ミュンヘン出身のミュージシャン、Edgar Wasserをスタジオにお招きしました」などと紹介されている。Edgar Wasserとは息子が15歳くらいから使っている、ほとんど分身ともいうべき別人格で、学校のテストにもたいていはその名前を使っていたし、高校のときの大論文もその名前で提出したので、友達や先生はみんな知っているのだが、まさかラジオで聴くとは思わなかった。今月の重点曲とかに選ばれて一日に四五回流れるそうである。
by foryoureyes
| 2010-12-12 06:12