2010年 06月 03日
翻訳ワークショップ 今日も |
現在真夜中を30分ほど過ぎたところ。
私自身はとうに翻訳をやめてビールを飲んでいるのだが、ガリシアから来ているYolandaが私の詩を翻訳しながら、細かな語句の解釈やニュアンスについて訊いてくれているので、作業部屋に残っている。ほかにはマルタ島出身のAntoineとスロベニアの若手女性詩人のヴェロニカ。外では雨が降っていて、近くを走る高速道路の音が聞えている。部屋のなかはとても静かだ。
Yolandaは整った顔立ちをした若い女性で、普段はテレビのコメンテーターの仕事をしている。ガリシア地方はスペインの北部にあるが、言語的にはスペインというのは、いわゆるスペイン語のほかにガリシア語とカタロニア語とバスク語の4種類が公用語とされていて、彼女はあくまでもガリシア語の詩人なのである。
彼女の詩は自身のアイデンティティーに関するものが多い。カトリックの伝統の強いスペインで、繊細で自立的な精神を持った少女が、社会からの抑圧と戦いながら自分自身に出会っていくかという物語だ。彼女に伊藤比呂美の詩を読ませてやりたいなあ、などと思いながら、質問と質問の間の濃密な沈黙に浸っている。
by foryoureyes
| 2010-06-03 07:35