2010年 04月 06日
叙情と抽象 |
復活祭の日曜日、恒例の『ジーザス・クライスト・スーパースター』を家族で観る。
ロンドンのミュージカルを記録したものではなく、ノーマン・ジェイソンが監督したアメリカ映画の方である。この映画を初めて観たのは14歳のときだったと思うが、考えてみればそれは初めて中也を読んで詩というものを知ったときでもあった。
今でも観ている間はほとんど同じ心的状態に戻っているのが分かる。
十年ほどまえにロンドンまでリバイバルされた舞台を観に行ったが、やはり映画の方でなければ駄目なのだと納得して帰ってきた。
舞台には叙情性しかないのだが、映画版にはそれに加えてポップな表現主義がある。その本質をひとことで言うならば抽象ということであろう。
叙情と抽象、このふたつが自分の詩的感受性の基本原理になっていることを改めて知った。
何度観ても発見のある映画である。
by foryoureyes
| 2010-04-06 05:51