2010年 01月 15日
フィレンツェ・ギャラりー |
サン・マルコ修道院からブランカーチ教会へといたる道は、『噤みの午後』に収めた「9.11後のカント」の舞台となった思い出深い場所である。
(Photo by Rika Yotsumoto)
サン・マルコ修道院は、フラ・アンジェリコが暮らしていたところで、独房のような修道僧の部屋ごとにフレスコを残している。一方、ブランカーチ教会はマサッチオのフレスコが有名で、レオナルドやミケランジェロやラファエロなどルネサンスを代表する画家たちはいずれもここで壁画を仰ぎ見ては画法を学んだという。どちらもこれまで何度となく足を運んだ場所だが、今回はとりわけマサッチオの表現力に胸を打たれた。
ところで今回は娘もカメラを持参して、親子で写真を撮り歩いた。お互いかなりの枚数を撮影して、もちろん娘の写真の大半はつまらないものなのだけれど、二枚ばかり、あれ、これは自分が撮ったものかな、と思うものがあった。絵画であれば決して起こらない現象だろう。ところがカメラというテクノロジーを導入したとたんにこういう表現上のワープが生じてしまうのだ。
by foryoureyes
| 2010-01-15 23:13