2010年 01月 03日
天使らが場所を変える |
元旦の夜、『Babel』という映画を観て、息子がつくづくとした調子で「辛い話だねえ、これは」と云う。そういう日本語表現をどこで学んだのだろう。ほとんど無きに等しい息子のなかの日本語も、それなりに歳を経てゆくのだなあと、いとをかし。
2日のドイツは通常通りの土曜日だが、街なかは大変な人出で、珍しく駐車場がどこも満杯で難儀した。夕方、用を終えて帰ってくると、息子はしけた顔をして勉強を続け、娘は頭が痛いといって寝込んでいる。元旦から勉強を始めるなどという珍しいマネをしたせいに違いない。ニンニクのたっぷり入ったミネストローネを作ってやる。
夜、物書き机のまわりの絵の位置を変える。すぐ目の前にいたメムリンクの天使が真横上方に移動し、窓際にいたフラ・アンジェリコの天使に元の場所を譲った。目の前のモディリアーニは同じ場所で眠り続けている。画面から放射される視線の角度が微妙に変わって、その網の目の上を気持ちが蜘蛛のように動いている。
by foryoureyes
| 2010-01-03 15:41